樹脂や繊維への応用

アパタイトを被覆した二酸化チタン粉末は、従来の二酸化チタンでは不可能だった樹脂などへの混合ができる。光触媒を樹脂や繊維へ混合できれば、様々な容器やバスタブ、樹脂製建材、壁紙、電化製品などへ応用できる。

例えば、カビが生えにくく、シックハウス症候群の原因物質を分解する壁紙や、お湯の汚れや雑菌の繁殖を防止したバスタブ、食品の抗菌抗カビ機能のあるタッパーウェアーや包装用シート、汚れないテントなどである。

しかし、従来の二酸化チタン単体を直接樹脂などに混合してしまうとその光触媒機能により樹脂そのものを分解して、変色させ、ぼろぼろになってしまう。これは樹脂に限らず、繊維や紙、フィルムでも同様で光触媒の応用範囲を妨げる最も難しい問題点である。

それを解決するための試みとしては、マスクメロンのような多孔質のシリカで二酸化チタンを覆った材料を繊維に固定する方法が提案されている。

この構造では、繊維と二酸化チタンが直接触れないため、繊維の劣化は起こらないという。しかし、シリカは物質を吸着する機能に優れているわけではないので、単なるスペーサーとしての役割のみである。

アパタイトを被覆した二酸化チタン粒子は、表面をアパタイトが覆っているため、これを樹脂などに混合しても二酸化チタンと樹脂が直接接しないため、痛めることがない。

アルデヒド類などの有害成分は、アパタイトに吸着され、これを二酸化チタンが分解する。すなわち、この複合材料により今まで不可能であった樹脂への混合と物質の吸着を同時に可能にしている。